
開発期間:15週間
チーム体制:7名
導入背景
近年、企業ではサイバー攻撃の高度化やIT環境の複雑化に伴い、セキュリティ運用の高度化が求められています。
多くの企業では、EDR、IT資産管理、ITSM、CMDBなど複数のセキュリティ・IT管理ツールを導入しています。一方で、各システムが個別に運用されることで、セキュリティ情報や資産情報が分断され、インシデント対応の迅速化や正確なリスク判断が困難になるという課題が発生しています。
McKinsey(2026)の調査では、企業の80%がデータ制約をAIやデジタル施策のスケール展開における主要な障壁として認識しています。また、KPMG(2025)の調査では、データ活用基盤の整備やシステム間の相互運用性強化に取り組む企業は24%にとどまり、多くの企業がデータ統合とガバナンスに課題を抱えていることが示されています。また、企業全体でガバナンスされたデータ活用基盤を構築できている組織は限られており、システム間連携とデータ品質管理の重要性が高まっています。
このような背景から、ServiceNow SecOps は、セキュリティアラート、構成情報(CMDB)、インシデント管理、対応ワークフローを統合し、企業のセキュリティオペレーションを高度化するプラットフォームとして注目されています。
今回ご紹介する導入企業は、複数地域で事業を展開する大手製造業企業です。
同社では、CrowdStrike Falcon、Microsoft Intune、ServiceNowを活用していましたが、20,000台以上のエンドポイントと300,000件以上のConfiguration Item(CI)を管理する中で、以下のような課題を抱えていました。
- セキュリティ情報と資産情報が複数システムに分散
- CMDBデータの不整合や重複レコードの発生
- セキュリティアナリストによる手動確認作業の増加
- 技術的な重大度だけで判断されたインシデント優先順位
- ビジネス影響を考慮した迅速な対応の困難化
GEMは、ServiceNow SecOps導入を中心としたセキュリティ運用モデルを構築し、CMDBガバナンス、CrowdStrike連携、インシデント対応自動化を実現しました。
これにより、単なるアラート管理ではなく、ビジネスコンテキストを考慮した、スケーラブルなセキュリティオペレーション基盤を提供しました。
課題
ServiceNow SecOps導入前の課題
① 分断されたセキュリティ・IT管理環境
導入前、クライアントでは以下のような複数のシステムが個別に運用されていました。
- CrowdStrike Falcon(エンドポイントセキュリティ)
- Microsoft Intune(端末管理)
- ServiceNow(ITサービス管理・CMDB)
これらのシステム間で十分なデータ連携が行われていなかったため、セキュリティ担当者は複数のツールを横断して情報を確認する必要がありました。
その結果、
- エンドポイントリスクと業務影響の関連付けが困難
- インシデント優先順位の判断に時間が必要
- 重要資産への対応遅延リスクが発生
していました。
② CMDBデータ品質とガバナンス不足
20,000台以上のエンドポイントを管理する中で、CMDBには以下の問題が存在していました。
- 重複CIレコード
- 不正確な資産情報
- 所有者情報の不足
- エンドポイント識別ルールの不統一
CMDBデータの信頼性が低下すると、ServiceNow SecOpsによる正確なインシデント分析や自動化が困難になります。
③ セキュリティインシデント対応の非効率化
CrowdStrikeから検知されたセキュリティイベントは、手動確認や個別判断を必要としていました。
また、同一端末に対する重複検知によって大量のチケットが発生し、SOC担当者の負荷増加につながっていました。
その結果、
- 本当に優先すべき脅威への対応遅延
- チケット対応量の増加
- インシデント管理品質のばらつき
が発生していました。
ソリューション
GEMは、ServiceNow SecOps を中心とした統合セキュリティ運用モデルを構築しました。
本プロジェクトでは、CMDB基盤の改善とセキュリティインシデント対応の自動化を2段階で実施しました。
施策①
CMDBガバナンス基盤の構築
GEMは、まず既存のCMDBデータ品質とエンドポイント管理モデルを評価しました。
Microsoft Intuneとの連携方式を見直し、IntuneをエンドポイントID情報の正式な管理元(Authoritative Source)として定義しました。
さらに、以下の仕組みを実装しました。
- Identification and Reconciliation Engine(IRE)ルール設定
- CI属性の所有権管理
- 重複CI防止ロジック
- 例外管理プロセス
- リメディエーションワークフロー
- 監査対応可能な履歴管理
これにより、各エンドポイントに対して一貫したCI管理を実現し、ServiceNow SecOpsが利用できる信頼性の高いCMDB基盤を構築しました。
施策②
ServiceNow SecOpsによるセキュリティ運用高度化
GEMは、CrowdStrike Falconから取得されるセキュリティ検知情報をServiceNowへ安全に取り込む仕組みを構築しました。
APIベースのインテグレーションにより、検知情報を自動連携し、以下の高度化を実現しました。
重複インシデントの削減: External IDベースのデュプリケーション制御を実装し、同一検知による不要なチケット生成を防止しました。
ビジネスコンテキストを考慮した優先順位付け: 単純な脅威レベルだけではなく、
- 対象サービス
- 資産所有者
- ビジネス重要度
- CI情報
を組み合わせてリスクベースの優先順位付けを実現しました。
インシデント対応ワークフローの自動化
ServiceNow SecOps上で、
- インシデント生成
- 担当者割り当て
- エスカレーション
- 対応ステータス管理
を自動化し、検知から解決までの一連のプロセスを標準化しました。
技術スタック
本プロジェクトでは、ServiceNow SecOpsを中心に、セキュリティ管理、CMDBガバナンス、システム連携、自動化ワークフローを組み合わせたエンタープライズ向けセキュリティ運用基盤を構築しました。
利用技術・プラットフォーム
- ServiceNow SecOps
- Security Incident Response(SIR)
- ITSM
- CMDB
- IntegrationHub ETL
- Identification and Reconciliation Engine(IRE)
- Flow Designer
- Scripted REST API
- CrowdStrike Falcon Integration
- Microsoft Intune Integration
- Reporting & Performance Analytics
成果物
本プロジェクトでは、ServiceNow SecOpsを活用したセキュリティ運用基盤を構築し、以下の成果物を提供しました。
CMDBガバナンス基盤
- Microsoft Intuneを基準としたエンドポイントID管理モデル
- CI作成ルールおよび属性管理ルール
- IREによるCI識別・統合ロジック
- 重複CI防止メカニズム
- 例外管理・リメディエーションワークフロー
- 監査対応可能なCMDB管理プロセス
ServiceNow SecOpsセキュリティ運用基盤
- CrowdStrike Falcon検知情報のServiceNow自動連携
- APIベースのセキュアなデータ取り込み
- External IDによるインシデント重複排除
- CI情報との自動相関付け
- ビジネスコンテキストを付加したインシデント管理
- リスクベースの優先順位付け機能
セキュリティ対応ワークフロー自動化
- セキュリティインシデント自動生成
- 担当チームへの自動ルーティング
- 対応プロセス管理
- エスカレーション制御
- 検知から解決までの監査証跡管理
導入効果
業務効率化
本プロジェクトにより、セキュリティ運用プロセスは大幅に効率化されました。
MTTRを30〜50%改善: ServiceNow SecOpsによる検知から対応までの自動化と、CMDB情報を活用したコンテキスト分析により、インシデント対応時間(MTTR)を30〜50%改善しました。
SLA内解決率を30%向上: 自動分類、優先順位付け、担当者ルーティングにより、インシデント処理の一貫性が向上しました。
その結果、SLA内で解決されるインシデント数が30%増加しました。
エンドポイント管理精度を向上: CMDBガバナンス強化により、未導入エージェントが存在する約7%のエンドポイントを特定しました。
適切なリメディエーションプロセスを実施することで、セキュリティカバレッジを改善しました。
不要なチケット増加を削減: External IDベースの重複排除機能により、同一検知による重複インシデント(チケットストーム)を防止しました。
SOCチームは、本当に対応が必要な脅威へ集中できる環境を実現しました。
ビジネス効果
ServiceNow SecOps導入により、単なるセキュリティツール連携ではなく、企業全体のセキュリティオペレーションモデルを高度化しました。
主なビジネス効果は以下の通りです。
- セキュリティ対応の迅速化により、重大リスクへの対応力を向上
- CMDBガバナンス強化により、資産情報への信頼性を向上
- 技術的な脅威情報とビジネス影響を組み合わせた判断を実現
- SOC運用プロセスを標準化し、属人的な対応を削減
- 検知から解決までの完全な監査証跡を確立
- グローバル環境でも拡張可能なセキュリティ運用基盤を構築
ServiceNow SecOps導入・活用ならGEM JPNへ
GEM JPNは、ServiceNow SecOps導入、CMDB構築、セキュリティインテグレーション、インシデント対応自動化まで一貫してご支援します。
CrowdStrike、Microsoft Intuneなどのセキュリティ・IT管理ツールとの連携を通じて、企業のセキュリティ運用を統合し、可視性向上、対応スピード改善、ガバナンス強化を実現します。
ServiceNowの設計・開発・運用改善に加え、エンタープライズ環境における複雑なシステム連携やデータ管理にも対応し、お客様のセキュリティDXを長期的にサポートします。
👉 GEM JPN公式サイト:https://gem-corp.jp/
プロジェクト総括
本プロジェクトでは、GEMが分散していたセキュリティツール環境を、統合されたServiceNow SecOpsモデルへ変革しました。
CrowdStrike Falconとの連携、CMDBガバナンス、インシデント対応ワークフローの自動化を組み合わせることで、単なるアラート管理ではなく、ビジネス影響を考慮した次世代型セキュリティオペレーション基盤を構築しました。
その結果、MTTRを最大50%改善し、SLA対応率向上、セキュリティカバレッジ強化、SOC運用効率化を実現しました。
ServiceNow SecOpsは、単なるセキュリティインシデント管理ツールではありません。
CMDB、ITSM、セキュリティデータ、業務プロセスを統合し、企業がより迅速かつ正確にリスクへ対応するための戦略的なセキュリティ基盤です。
GEMは今後も、ServiceNow、AI、データ統合技術を活用し、企業のデジタルトランスフォーメーションとセキュリティ高度化を支援していきます。
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